Web制作におけるブランドガイドライン|一貫性ある表現のための6つの手法
Web制作におけるブランドガイドライン
一貫性ある表現のための6つの手法

このページのコンテンツ
- Web制作におけるブランドガイドラインの重要性
- ブランドガイドラインが解決するWeb制作の課題
- ブランドガイドラインの基本構成要素
- Web制作で一貫性を実現する6つの手法
- ブランドガイドライン活用の実践ステップ
- まとめ|ブランドガイドラインがもたらすWeb制作の価値
- 本記事の著者
- 関連サービス
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Web制作におけるブランドガイドラインの重要性
Webサイトは企業の顔です。
訪問者が最初に触れる接点であり、ブランドの印象を大きく左右します。
しかし多くの企業ではWebサイトの制作過程でブランドの一貫性が失われてしまっています。
10年間のWEBディレクター経験から言えることは、優れたWebサイトとは単に見た目が美しいだけではなく、企業の理念や価値観を正確に反映し、一貫したメッセージを発信できるものだということです。
そしてその一貫性を実現するための強力なツールが「ブランドガイドライン」です。
ブランドガイドラインとは
企業のブランドを表現するための規則や指針をまとめたもの。
ロゴ、配色、フォント、言語表現、行動指針など、ブランドに関わるあらゆる要素を定義し、一貫性のある形で運用するためのルールブックとして機能します。
多くの企業がWebサイト制作において「伝える構造と言語の未設計」という問題を抱えています。
単にWebサイトを持つことと、価値が正しく伝わる構造を持つことは、まったく別の話なのです。
ブランドガイドラインが解決するWeb制作の課題
多くの企業のWebサイトが成果を出せない根本的な理由は、「企業が伝えたいこと」と「顧客が知りたいこと」のギャップが解消されていないこと。
この問題解決に「ブランドガイドライン」が役立ちます。

- 自社都合の情報設計
発信内容が「伝えたいこと」に偏り、顧客が求める情報が見つけにくい状態を改善 - 価値の表現不足
日々の実績や提供体制などの強みを、顧客にとって理解しやすい形で提示 - 情報の構造設計の欠如
情報の優先順位や関連性を整理し、目的の情報に辿り着きやすくする - 顧客視点の欠如
顧客の情報探索行動を考慮した設計 - 拡張性の欠如
事業成長や将来的な発信に対応できる設計が継続的な投資効果を得る
これまで支援してきた企業の多くは、「結局何をしている会社か分からない」「採用後に思っていたのと違うと言われる」「営業のトークとWebサイトの中身が噛み合わない」といった課題を抱えていました。
これらの問題は、まさに「構造と言語の未設計」にあります。
ブランドガイドラインを活用することで、組織として価値を正しく伝える情報構造を設計し、誰が読んでも・誰が案内しても価値が伝わるWebサイトが構築できます。
ブランドガイドラインの基本構成要素
ブランドガイドライン作成は以下の基本構成要素である4つのポイントを押さえ、Web制作において一貫性のある表現を実現するための土台としてください。

1. ブランドの本質と価値観
ガイドラインの最初に記載すべきはブランドの核となる価値観や企業理念。
なぜその事業を行っているのか、どのような価値を提供したいのか、企業としてのミッションやビジョンを明確に言語化します。
単なる抽象的な言葉の羅列ではなく、実際の意思決定や表現の指針となるものです。
例えば「顧客第一主義」という価値観があれば、Webサイト上でも常に顧客視点を優先した情報設計が求められます。
2. ビジュアルアイデンティティ
ロゴの使用方法、カラーパレット、タイポグラフィ(フォント)、画像スタイルなど、視覚的な要素に関するルールを定義します。
特にWeb制作では以下の点を明確にしておくことが重要です。
- ロゴの最小サイズと余白(クリアスペース)
- Webセーフフォントとフォールバックフォント
- カラーコード(HEX、RGB、CMYK)
- 写真やイラストのスタイルガイドライン
- アイコンやUI要素のデザイン指針
3. ブランドボイスとトーン
Webサイト上のテキストや見出し、ボタンなどで使用する言葉の調子や文体を定義します。
フレンドリーでカジュアルな表現を使うのか、それとも専門的でフォーマルな表現を使うのか、ターゲットとする顧客層に合わせて設定します。
例えば同じ「お問い合わせ」でも、「お気軽にご相談ください」と「ご不明点はこちらからお問い合わせください」で印象が大きく変わります。
4. 写真・イラストのスタイル
Webサイトで使用する写真やイラストのスタイルも統一することで、ブランドの一貫性が高まります。
人物写真を使う場合の表情や服装、背景の雰囲気、色調補正の方針などを定めておくと良いでしょう。
例えば、明るく開放的な印象を与えたい企業であれば、自然光を活かした明るい写真を使用するといったルールを設けます。
Web制作で一貫性を実現する6つの手法
ブランドガイドラインを効果的に活用し、Web制作で一貫性のある表現を実現するための具体的な手法を6つご紹介します。

1. デザインシステムの構築
ブランドガイドラインをベースに、Web特有のデザイン要素をコンポーネント化したデザインシステムを構築します。
ボタン、フォーム、カード、ナビゲーションなどの要素を標準化し、再利用可能な形で管理します。
サイト全体で統一された見た目と操作感を実現できるだけでなく、特に複数のページやセクションを持つ大規模なWebサイトでは制作効率も大幅に向上します。
2. コンテンツスタイルガイドの作成
Web上のテキストコンテンツを一貫性のある形で表現するためのルールを定めます。
見出しの付け方、段落の長さ、リストの書式、専門用語の表記方法など、細部にわたるルールを設定します。
例えば、「見出しは必ず動詞を含める」「顧客の課題から始める」「1段落は3文以内」といったルールを設けます。
コンテンツスタイルガイドが最も軽視されがちですが、実はユーザー体験に大きく影響します。
文体や表現のブレは、無意識のうちに訪問者に「違和感」を与えてしまいます。
3. グリッドシステムの導入
Webデザインにおいてグリッドシステムを導入することで、レイアウトの一貫性を確保できます。
ブランドガイドラインに基づいたグリッド設計を行い、それに沿ってコンテンツを配置します。
例えば、12カラムグリッドを基本とし、セクション間の余白を一定に保つ、見出しと本文の間隔を統一するなどのルールを設けます。異なるページでも視覚的な統一感が生まれます。
4. レスポンシブデザインの一貫性確保
現代のWeb制作では、さまざまな画面サイズに対応するレスポンシブデザインが不可欠です。
ブランドガイドラインをレスポンシブデザインにも適用し、デバイスが変わってもブランドの一貫性が保ちます。
モバイル表示時のロゴサイズ、フォントサイズ、余白の調整、ナビゲーションの変化など画面が小さくなっても、ブランドの本質が損なわれないよう、優先順位を明確にしておくことが重要です。
例えば「モバイル表示では最も重要なメッセージを最上部に配置する」「タブレット表示ではグリッドを8カラムに変更する」といったルールを設定します。
5. インタラクションデザインの標準化
ボタンのホバーエフェクト、ページ遷移のアニメーション、フォーム入力時のフィードバックなど、ユーザーとのインタラクション要素もブランドの一部です。これらのインタラクションデザインを標準化し、ガイドラインに組み込みます。
例えば「すべてのボタンは押下時に同じアニメーションを使用する」「エラーメッセージは常に同じ位置に表示する」「スクロールアニメーションは一定の速度で行う」などのルールを設けます。
インタラクションの一貫性は、ユーザーの学習コストを下げ、サイト内での行動をスムーズにする効果があります。
6. ブランドガイドラインの運用体制構築
最後に重要なのは、ブランドガイドラインを実際のWeb制作プロセスに組み込む運用体制です。
- ガイドラインの保管場所と最新版の管理方法
- デザイナーやコンテンツ制作者への教育プログラム
- ガイドライン適用のチェックポイントとレビュープロセス
- ガイドラインの更新・改善の仕組み
BaseTreeはガイドラインを単なる「規則集」ではなく、「共通言語」として位置づけることです。
制約ではなく、コミュニケーションを円滑にするツールとして活用することで、チーム全体がブランドの価値観を体現できるようになります。
ブランドガイドライン活用の実践ステップ
ブランドガイドラインをWeb制作に活用するための具体的なステップを解説します。

ステップ1:現状分析と課題の洗い出し
まず現在のWebサイトの状態を分析しブランド表現における課題を洗い出します。
- ビジュアル要素(ロゴ、色、フォント)の一貫性
- コンテンツのトーンや文体の統一感
- ユーザー体験の一貫性(ナビゲーション、インタラクションなど)
- ブランドの核となる価値観の表現度合い
この分析をもとに、改善すべき優先順位を決定します。
すべてを一度に変更するのではなく、影響の大きい要素から段階的に取り組むことをお勧めします。
ステップ2:ブランドガイドラインの作成または更新
既存のブランドガイドラインがある場合は、Web制作に必要な要素が含まれているかを確認し、必要に応じて更新します。
ない場合は、最低限以下の要素を含むガイドラインを作成しましょう。
- ブランドの基本情報(ミッション、ビジョン、価値観)
- ロゴの使用ルール(サイズ、余白、禁止事項)
- カラーパレット(プライマリカラー、セカンダリカラー、アクセントカラー)
- タイポグラフィ(見出し、本文、強調テキストのフォント指定)
- 写真・イラストのスタイルガイド
- ブランドボイスとトーン(文体、表現方法)
- Web特有の要素(ボタン、フォーム、ナビゲーションなど)
ステップ3:デザインシステムへの展開
ブランドガイドラインをベースに、Web特有のデザインシステムを構築します。
- グリッドシステムの定義
- UIコンポーネントライブラリ(ボタン、フォーム、カード、アラートなど)
- レスポンシブデザインのブレークポイントとルール
- アニメーションとトランジションのルール
- アイコンセットとイラストスタイル
このデザインシステムは、実際のコードやデザインツール(Figma、Adobe XDなど)で実装し、チーム全体で共有できる状態にしましょう。
ステップ4:コンテンツ制作ガイドラインの整備
Webサイトのコンテンツ制作者向けに、より具体的なガイドラインを整備します。
- 見出しの付け方と階層構造
- 段落の長さと構成
- リストの書式と使い分け
- 専門用語の表記ルール
- CTAの文言と表現方法
- SEOを考慮した文章構成
マーケティング担当者やコンテンツライターが日常的に参照できるよう、具体例を豊富に含めましょう。
ステップ5:チーム全体への浸透と教育
ブランドガイドラインとデザインシステムをチーム全体に浸透させるための教育プログラムを実施します。
- ガイドライン説明会の開催
- 実践的なワークショップの実施
- 定期的なレビューセッションの設定
- 成功事例の共有と表彰
特に重要なのは、ガイドラインの「なぜ」を理解してもらうこと。
単なるルールではなく、ブランドの価値を高めるための共通言語であることを伝えましょう。
ステップ6:継続的な改善と更新
ブランドガイドラインは固定的なものではなく、ビジネスの成長やマーケットの変化に合わせて進化させるべきものです。
- ガイドラインの適用状況の確認
- ユーザーフィードバックの収集と分析
- 最新のデザイントレンドとの整合性確認
- ビジネス戦略の変化に伴う更新の必要性検討
更新の際は、変更点を明確に記録し、バージョン管理を徹底することで、チーム全体が最新のガイドラインを参照できるようにします。
まとめ|ブランドガイドラインがもたらすWeb制作の価値

Web制作におけるブランドガイドラインの活用は、単なるデザインの統一にとどまらず、企業の価値を正確に伝え、顧客との信頼関係を構築するための取り組みです。
本記事で解説した実践的な6つの手法をまとめます。
- ブランド認知の向上
一貫したビジュアルと言語表現により、顧客のブランド認知が高まります。 - 顧客体験の向上
統一されたユーザーインターフェースにより、顧客は迷うことなくサイトを利用できます。 - 制作効率の向上
デザインシステムの導入により、制作時間とコストを削減できます。 - チームの一体感醸成
共通言語としてのガイドラインが、組織の一体感を生み出します。 - マーケティング効果の向上
一貫したメッセージにより、マーケティング施策の効果が高まります。
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