「貴社サイトに無料でブログを設置して広告収入を得ましょう」という提案には重大なリスクがあります。業者が「無料」で実施する理由は、企業が長年かけて築き上げたドメインの信頼性をタダ乗りし、アフィリエイトのリスクをサイト運営者側に押し付けるため。
この提案を受け入れると、サイトの専門性の崩壊、ユーザーからの信頼の喪失、そして回復に長い年月を要する深刻なダメージを企業が負うことになります。
目先の利益に惑わされず、貴重な資産であるWebサイトを守りましょう。
甘い話にはワケがある
「初期費用無料で、御社サイトにアフィリエイトコンテンツを設置させてください」
Webサイトを運営していると、こんな提案を受けることがあります。
一見すると、追加コストなしで新たな収益が得られる魅力的な話に聞こえますよね。
しかし、この提案には大きなリスクが潜んでいます。
10年以上WEBマーケティングに携わってきた立場から言うと、この提案は危険です。
「貴社ドメイン(サイト)を利用したい理由」と「無料でアフィリエイトブログを設置・投稿してくれる理由」、貴社の大切なWebサイトがダメージを受ける仕組みと裏側を共有します。
なぜ業者は「無料」で提案してくるのか
まず考えてみてください。なぜ業者は「無料」で提案してくるのでしょうか?
ビジネスである以上必ず理由があります。その答えは、貴社が長年かけて育ててきた「サイト」にあります。
長年築き上げてきた「サイトへの信頼性」にタダ乗り
Webサイトを新規で立ち上げて、検索エンジンから信頼を得るまでには膨大な時間とコストがかかります。質の高いコンテンツを継続的に発信し、被リンクを獲得し、ユーザーからの評価を積み重ねていく。この地道なプロセスが、サイトの信頼性(ドメインパワー)を形成していきます。
実際、今では「中古ドメイン」という市場が存在するほど、過去に運営されていたドメインには価値があるとされています。それだけ新規でサイトを育てるハードルが高くなっています。
「ゼロから育てるより、すでに信頼されているドメインの下層に設置すれば、その評価を借りられるのではないか」と、業者は考えています。
業者自身のドメインでやらない理由
アフィリエイトで広告収入が得られて、そのためのコンテンツ作成技術やノウハウがあるなら、業者自身のサイトや次々にサイトを立ち上げて取り組めばいいと思いませんか?
厄介であり、一番歯痒く感じるのは、この手法のリスクを最もよく理解しているのが提案してくる業者自身だということ。
だからこそ業者自身のドメインではなく、他社ドメインに設置したいのです。中古ドメインを買えば本サイト側の運営も必要になりますし(形だけでも事業運営しなければドメインパワーは弱まるため、アフィリエイト記事以外の事業記事更新も必要になる)、リスクも全て業者が負うことになります。
「御社のサイトの下層に、無料で設置」させてもらえば、このリスクは負わずに済みます。成果が出なかったり問題が発生すれば、撤退すればいいだけ。
同じ記事を、よりサイトパワーの強い他サイトに載せればいい。
最悪の場合、同じ記事を別サイトにそれぞれ入れればいいだけなので、業者は何もダメージを受けません。
実に親切ですね(笑)
貴社サイトが受ける3つの深刻なダメージ
では、この提案を受け入れると、貴社サイトにどんな影響があるのでしょうか?

サイトの専門性が根底から崩れる
例えば貴社が不動産会社だったとします。これまで不動産に関する有益な情報を発信し続け、「不動産のことならこのサイト」という信頼を築いてきました。
そこに突然、カードローンやクレジットカード、個人向け金融サービスのアフィリエイト記事が大量に追加されたらどうでしょうか?
検索エンジンは混乱します。「このサイトは一体何の専門家なのか。不動産?金融?それとも何でも屋?」
Googleは近年、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視しています。サイトの専門性が曖昧になると、検索エンジンからの評価を大きく下げる要因になります。
ユーザーからの信頼を失う
貴社サービスを求めて訪問したユーザーが、全く関係ないアフィリエイト商品の紹介記事に遭遇したら、どう思うでしょうか?
あなたが自分のサイトのユーザーなら
「このサイトなんか怪しいな」 「結局お金目当てか」
と感じて、二度と訪問しなくなるのではないでしょうか。
ブランドイメージの毀損は売上や問い合わせ数の減少に直結します。
アフィリエイトで紹介される商品やサービスの質を、貴社がコントロールできないことも問題です。紹介した商品に問題があった場合、ユーザーは「貴社が推奨している」と認識します。実際には業者が勝手に掲載しているだけでも、責任を問われるのは貴社です。
回復には長い年月がかかる(または修復不可)
WEBの世界でも、一度失われた信頼を回復するのは非常に難しいです。
「じゃあ、うまくいかなかったら記事を削除すればいいでしょ?」
そう考えるかもしれませんが、そう単純ではありません。検索エンジンは一度低く評価したサイトの評価を簡単には戻しません。該当記事を削除するだけでは不十分で、サイト全体の信頼性を再構築する必要があります。
長い年月を要しますし、場合によっては完全な回復は不可能かもしれません。
信頼性やブランドイメージは地道にコツコツ年月をかけてを築き上げて獲得したものですが、失うのは一瞬です。
導入してもいいケースってあるの?
では、どんな状況なら検討してもいいのか。
正直に言うと、選択肢は非常に限られています。
- 事業を終了する予定がある
- サイトを今後継続する意思がない
- 閉鎖前に少しでも収益を得たい
こうした状況であれば、解釈の余地はあるかもしれません。
しかし、やはりオススメはしません。
繰り返しになりますが、ユーザーは貴社サイトに期待を持って閲覧し、信頼して購入や問い合わせをするわけです。
「自分たちの社名を背負って、本当に紹介できるものなのか?」という観点から考えると、たとえサイトを閉じる予定であっても、ユーザーにとって不利益なこと・責任を持てないことをするべきではないと考えます。
ましてや事業を継続する予定があるなら、長年かけて築いてきたWEBサイトという資産を危険にさらすべきではありません。
Webサイトは貴社の貴重な資産です
忘れないでください。貴社のWebサイトのドメインは、長い時間と労力をかけて育ててきた貴重な企業資産です。
単なるURL以上の価値を持っています。顧客からの信頼、検索エンジンからの評価、ブランドイメージ、そして将来にわたる集客力。これらすべてがサイトに蓄積されています。
目先の収益に惑わされて信頼性を安易に他者に委ねると、将来にわたって、長期的にわたって、大きな損失を被ります。
提案を受けたら、立ち止まって考える
「無料で設置させてください」という提案を受けたら、まず立ち止まって考えてください。
01
なぜ無料でできるのか?
02
リスクは誰が負うのか?
03
本当に自社にメリットがあるのか?
無料にできるのはリスクを全て貴社が負うから
貴社のWebサイトは、貴社が守るべき資産です。
判断を誤ると、取り返しのつかないダメージを受けます。
こうした提案を受けた際は、信頼できるSEO専門家やWEBマーケティングの専門家に相談することをお勧めします。短期的な利益よりも、長期的なブランド価値とサイトの健全性を優先しましょう。
貴社が長年かけて育ててきたWebサイト。それは、簡単に他人に預けていい存在ではありません。
判断に迷ったら、ひとりで悩まずBaseTreeに相談してください
BaseTreeは埼玉県深谷市を拠点に、埼玉県北部と群馬県の中小企業を対象としたWebマーケティング支援サービスを提供しています。
今回の「貴社サイトに無料でブログを設置して広告収入を得ましょう」という提案や、一見するとこちらにメリットしかなさそうな提案に見えて、実は貴社やサイトを毀損するサービスがたくさんあります。
サイト運営に関するご相談や、こうした提案を受けた際のセカンドオピニオンも承っていますのでお気軽にご相談ください。

